オーディオにおいて、私は銀という素材が一番適していると確信している。
私が最初に銀線に接したのは1970年代に流行ったカートリッジのシェルリードだが、その時は高音のキラキラした色付けが大嫌いであった。
それ依頼、私は銀は駄目だと思い込んだのである。
団塊の世代の方達は、おそらく皆さん同じ体験をされたのではないだろうか?
では、何故当時の銀はそんな嫌な音がしたのかを考えてみた。
@純度の低い装飾用の銀を流用した為
A十分な熱処理がされていなかった為
Bエージングが十分でなかった為
以上が考えられる理由であるが、それらが複合的に作用してあんな嫌な音がしていた
のだろうと思う。
@については、オーディオ用に純度の高い銀が供給される様になり、現在では問題な
い状況となっている。
ケーブル カートリッジ MCトランス トーンアームまで製品化されているのがその恩恵であろう。
ではAについてはどうだろう?
実は、私が銀を見直すきっかけとなったのは、この熱処理なのだ。
北九州のチューニング仲間が、熱処理の方法を検討したら物凄く良くなったと言う。
それではと皆が集まって試聴をしたところ、あの銀の嫌な癖は影を潜め、それまでに
聴いた事の無い鳴りっぷりに集まった全員が驚いたのである。
その製造方法は、銀が溶ける寸前の温度から48時間掛けてゆっくり常温に戻すという事だったが、温度管理が非常に難しく、中々量産できないという事であった。
それからは、出来上がった0.8φと1.6φの銀線を仲間で分け合い、CDプレーヤーやアンプのプリント基板の裏打ちにのみ使っていた。
それまでに何をやっても到達できなかった次元の音楽再生が出来る様になったのは言
うまでもないが、機器の外部に使う程の量が確保出来なかった為、ラインケーブルや
スピーカーケーブルまでトータルで銀線にした音をお客さんに提供できなかったの
は、非常に残念であった。