
一つのマスタークロックで全てのディジタル機器を動かす。
これは、スタジオなどの業務用機器では随分前から当たり前の様に行われてきた。
一般にも販売された業務用CDプレーヤーSTUDER A730などには、当初からワードシンク入力が付いており、外部クロックへ同期して動作する様になっていた。
しかし、音質に対して非常に有効なその機能は、一般的には最近まで生かされていなかったのではないだろうか?
ワードシンクが騒がれ始めたのは、ESOTERICのP-0が発売されたつい2〜3年前の事と記憶するが、DCSのルビジューム発信機によるワードシンクを外付けすると、抜群に音質が良くなるというものであった。
弊社でもLC-AUDIO社のLclockXO2を使って44.1KHZを出力するWS1を限定生産したが、それは比較的短期間に20台を完売したので、P-0などのワードシンク入力に対するユーザーの要望が大きい事は理解していた。
しかし、D/Aコンバーターに同入力が無ければワードシンクジェネレーターを使う意味が半減し、CDプレーヤー本体のマスタークロックを交換すれば同等以上の効果が得られるのだ。
現在ではLclockもXO-3へと進化しており、音質に直接影響するジッター精度が2ppmから1ppmへと向上している。
WS1をご愛用戴いているお客様よりXO-3への交換をご依頼戴き、取替えてみると、やはり低音の解像度や音場の出方が大きく改善された。
X-TAL(水晶)でこれだけ改善されるのだから、もっと精度が高いと言われるルビジュームやセシウムなどの素子を使った高価なワードシンクを使用すれば、さらに音質が良くなるだろうと安易に想像していまいがちなのだが……
果たしてそうなのだろうか?
ここで、一つ気になる事がある。
前のコラムにも書いたのだが、LC-audioによると水晶やルビジュームといった発振素子の問題よりも、発振回路の問題の方が大きいと言うのだ。
例え高価な素子を使ったとしても、発振回路がゲートICを使った簡易型であれば、ジッター精度はそれ程良くはならない。
ワードシンクジェネレーターのメーカーが発表しているのは、相変わらず音質に直接関係しない中心周波数の安定度や温度特性であり、音質に対して重要なリアルタイムに揺れるジッター精度ではないと思うが、何故なのだろうか?不思議に思うのは私だけではない筈だが……。 |