お客様の装置が完成するまで

2013/10/10

車で関東への出張を始めてもう15年にもなるだろうか?
よくそんなにお客さんがいるもんだね、と同業者から皮肉たっぷりに言われるが
実はそんなに多くのお客さんがおられる訳ではないのだ。

最近は金曜日の早朝に広島を出発して火曜日に帰ってくるというパターンだが
都内に宿泊し、2日間で千葉 神奈川 埼玉 群馬辺りを回るのだから
お伺い出来るお客さんは精々8軒程度である。
また、山梨 愛知 岐阜 富山 石川辺りへ行き帰りに寄ったとしても
10軒が精いっぱいなのだが、同業者は毎月別のお客さん宅へ伺っていると勘違いしているのだ。

前月と同じパターンの出張も珍しくなく、中には何年も毎月の様にお伺いしているお客さんも有る程で、私の仕事は1回では終わらないのである。

多くの販売店の様に何かを買って頂いてそれで終わりなら、1度お伺いすれば良いのだが、 お客さんの要望に対して、結果(音質)に責任を持つ為には何度もお伺いする事になる。
何故なら、24時間電源を入れていたとしても、新品の機器が本来の音質となるには1か月程度掛かるからだ。
つまり「車での関東出張」はエージングが完了した音にまで責任を持つ為に取っている行動なのである。

山梨県 U 様邸

また、DENTEC製品をトータルでお使い頂いているお客様が現在の音で満足されていたとしても、 それから先どれ程良くなるのか?は聴いてみなければ解らない。
試聴の結果、変化の度合いに対して安いと思われたお客様には次の出張で納品させて戴く訳だが、これが機器の買換えではなく追加のチューニングであったりする訳だ。


2013/11/7

ところで、最近面白い事が解ってきた。
弊社とお付き合い頂く当初はジャズ ロック フュージョンを聴かれる方も結構おられるが、
段々生演奏に近い音が出始めると、殆どの方がクラシックを聴かれているのである。
それも最近リマスターさせたものでは無く、 歴史的名演奏が良いと言われるから面白い。
クロック交換やディジタルアンプ スピーカーのチューニングで位相ズレが無く時間情報が正確に再現されるから
今迄聴かなかったのではなく、気持ちよく鳴らないから聴かなかったという訳だ。

私はお客さん宅ではいつも隅っこに陣取る事にしている。
左右のスピーカーより外の事が多いが、初期段階では当初は真ん中でなければ音場が出ない装置も
位相ズレの原因を取り除いていく程に段々と部屋のどの位置でも音場が再現される様になり、隅っこの方が変化が良く解るからだ。

千葉県 U 様邸

もう一つ、部屋の音響特性を改善しなければダメだとあちこちで耳にする。
私に言わせると、それは鳴らすテクニックを持たない販売店の逃げ口上でしかない。
位相ズレや時間情報が再現されない装置で奥行や広がりを出そうとすればそんな手段しか無いのかもしれないが、
機器内部に問題が有るものを外部でコントロール出来る訳もなく、所詮それは音を作って遊んでいるに過ぎないのである。
いや、変化を楽しんでおられるのならそれも否定はしないが、
何を聴いても生とは程遠い同じ音場が出現するのだから我慢できる筈はないだろう。
装置のグレードが上がり、それまで良いと思っていた音響材料を取り外したら気になっていた癖が全部なくなったなんて
本人にとっては笑おうに笑えない話だと思う。


2013/11/17

ところで、最近凄い事が起こっている。
弊社のお客様の大半にはIPT1000Anや800Anのアモルファス電源をお使い戴いており
太陽光発電等で増える電源ノイズからオーディオ機器を分離されている訳だが
中には、もうこれで十分これ以上何がどう良くなるの?と自他共に認める方も多い。

IPT-1000An-TSC

IPT-800An-TSC

そんなところに新製品IPT800An-TSCを持ち込んで聴いて戴く訳だが
対戦相手はパワーアンプにIPT1000An CDトランスポートとD/AコンバーターにはIPT800Anと
ベストな状態に持ち込む訳だから、誰が考えても分が悪い。

実はIPT1000An-TSCと800An-TSCの両方を積んでいたのだか、長旅の疲れで取り敢えず軽い800An-TSCからと横着をしたに過ぎない。
私自身が後で1000An-TSCを接続したらビックリされるだろうと考え、余興程度の積りだったのに・・・
何と音が出た途端にそこに居た全員がひっくり返る程驚いたのである。
先ず、ボリュームには手も触れてもいないのに音量が数段大きく
コーン型のスピーカーがホーン型になった?と錯覚する程なのだ。
いや、入り口から出口迄総入れ替えしてもこうはならないと言った方が解りやすい。
まるで演奏会場の現場そのまま?が出て来たのだ。

一体何が起きたのか?2対1いや3対1で負ける筈が無いのに、たった1台のIPT800An-TSCから
溢れかえる程の音楽が出て来たのだ!!!
当然IPT1000An-TSCを追加すれば更に良くなりフェアーな比較となるのだが、
そんな事はもうどうでも良い、もうこれで十分という程の差なのである。

これには、私自身が1番驚いた。
瓢箪から駒と言うか、横着が招いた驚く程の差で
その話をしただけでIPT800An-TSCの導入を決定したお客さんもいる位なのだから・・

当分の間、TSCシリーズを5~6個積んで出張する事になりそうだが
今回は改めてSC(SuperCryo)の凄さを再認識する事になった。
価格だけで比較すれば、IPT1000An ¥690,000.- IPT800An¥385,000.-に対して
2倍前後の高価なTSCシリーズだが、
出て来る音に対して値段を付ければむしろ安いと言えるだろう。
比較対象の無いIPT-TSCシリーズは、世界最強のオーディオ用電源である事は間違いない。


2014/9/9

随分間が空いてしまったが、その原因はこれである。

ファインメットコアのコモンードノイズフィルターだが、
これとSuperCryo処理との相性が素晴らしく良いのだ。

これをIPTシリーズ電源に取り付けると、装置全体がコモンモードノイズの呪縛から解き放たれ、従来のオーディオからは聴けなかった生々しい現場が再現される様になる。
これを片っ端から取り付けていたのが、コラムが遅れた理由の一つだ。

さて、このファインメットという材料が最近あちこちで取り沙汰されているのをご存知だろうか?
もうこれが無ければオーディオは語れない様な実験結果や宣伝文句が目立つが、
私からすれば、何を今頃になって騒いでるの!?という心境なのだ。

それは何故か? 実は10年前に開発したIPT4000Anが、当初からファインメットコアだったからに他ならない。
単にアモルファスコアとだけ発表したのには理由が有り、物真似の多いこの業界を欺く為の仕掛けだったのである。
他人のアイデアや情報を利用しながら、さも自分が発掘したかの宣伝で金儲けしようとする連中に私は何度も苦渋を飲まされた。
誰もが知る大メーカーであっても例外ではなく、大きなメリットに対して担当レベルの口頭によるお礼程度で済ませてしまう。
私も馬鹿ではないから、もう二度とそこにはアイデアを提供しないし私を敵にした事の重大さが解った時にはもう遅いのである。
「グローバル化で日本人の心まで無くしてほしくないものだ」
そんな経験から出た自己防衛術と言えば、ご理解戴けるのではないだろうか?

さて、話が逸れてしまったが
横須賀市のお客様よりIPT1000Afs-TSCSC処理銀線コモンモードノイズフィルター付)の問い合わせが入った。

ハイパワーアナログアンプを気に入って使われており、容量的にどうだろうか?という質問だったが、コアボリュームに30%以上の余裕がある1000Afであってもパルシブな音楽再生には容量不足だ。
当初は1000を2台で左右に振り分ける方法をお勧めしようと思っていたが、IPT1000Afs-TSCの下取りにIPT4000Anが入ってくる事になった。

丁度SC処理炉の大型化が済んだところだったので、これにACF30Afsを取付けTSC処理を行う提案をさせて戴いた。
中古でも200万円を軽く超えるにも関わらず、何と即決されたのである!!
初めてのお客様で音も聴かずに即決なんて普通は有り得ない。
先ずは1000Afs-TSCを2台持って行き、試聴して戴いてからと考えていた私の方が驚いてしまった。
オーディオ機器にも巡り合わせが有り、今回の様に全てがベストタイミングで動く事は滅多にない。
まだお会いした事は無いが、余程運の強い方なのだろう・・・


2014/9/26

下取のIPT4000Anが入荷した。
久し振りに見たが、1000800を見慣れた昨今ではやはりデカイ!
大きさもだが、裸で65kg梱包重量80kgともなると還暦を過ぎた身には少々辛い・・・

さて、SC処理のタイミングが迫っているので、まずIPT4000Anに銀線フィルターACF30ASを取付ける事にする。

まずは入力のノイトリックパワコンを15Aから20Aに交換だ。
銅メッキされた鉄板も油圧のパンチなら楽勝で穴を大きく出来る。

ケース入りのACF30ASを4個は位置決めし、2φ銀線で配線する。

1時間程度で仕上がったので、早々にSC処理に出し
仕上がりを待つ事1週間・・・
塗装も傷まず上出来だ!

TSCと30AFSにシールを張り替え、IPT4000Afs-TSCが完成した。
早速お客様に仕上がりを報告し、次回の出張で配達を!と伝えたところ・・・
何と石段が100段位有ると言われるのだ!
80kgは2人でも辛いので、事前に宅配便で送らせて頂く事にした。

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