群馬県 T様

T様とは、昨年10月にENTEC(エンテック)スーパーウーハーのエッジをセーム革に張替えて戴いてからのお付き合いだ。
ご自宅を新築され、しまい込んであったオーディオ機器をセッティングしたところ、色々と不具合が発生したとの事で、関東出張時にクリニックへお伺いする事となった。

■第1回目2005年11月

まず旧装置だが、アクースタットのコンデンサー型スピーカーにサンスイのセパレートアンプ パイオニアのコンパチプレーヤーに自作ケーブルといった状態だったが、部屋の音響特性が良く、まずまずの音で鳴っていた。
Tさんは電源にも気を使っておられ、200vを某社のステップダウントランスを介して接続されている。
これなら機器の差もハッキリ出るだろうという事で、トランスをIPT1000Anに付け替えた。
途端に音場がグンと広がり、奥行きや実体感まで加わってきて、ビックリされたTさんの口から出た言葉は、この電源は置いて帰れないのですか?だった。
私の耳にはまだまだ付帯音が耳に付くが、同時に複数の事はやらない主義なので、当日は新品のIPT1000Anを設置し、故障していたナカミチ1000mbの修理とクロック交換を承って退散した。

■第2回目2005年12月

相手がコンパチ機なので比べるのが酷というものだが、クロック交換した1000mbの音質は凄まじく、今更ながらNAKAMICHIが高級機を作らなくなった事を残念に思った。
おまけに、代理店をやっていた頃にD/Aコンバーターのチューニングを行なっていた事を思い出し、たしかチューニングしたユニットが一つ残っていた筈だと探したところ、何と渡りに船で出てきたのである。
鳥山様の運が良かったとしか言いようの無い出来事だったが、ESOTERICのセパレートを購入しようかと検討されていたのだから、音質は元より相当な節約となった筈である。
この日は、徹底的にやればどうなるのか?を体験して戴く事とし、CMSケーブルからVEBTRC-Aまで設置し暫く聴いて頂く事とした。
帰り際の音質であるが、通常では頭を動かせば音場がふらつく筈の平面型スピーカーから、スピーカーより外に座っていた私の耳にも立体的な音場が展開され、不思議がられる鳥山様に平面型もちゃんと鳴らせはこうなるんですよと告げて終わりにした。

■第3回2006年1月

T様よりお電話を戴き、先日置いて帰った物を全てそのまま導入して戴いた。
Tさん曰く何一つ外せなかったそうだ。
さて、埼玉での試聴予約が入ったS-1EX/DENTECをTさん宅でも聴いて戴く事になった。
こんなスピーカーを関東まで試聴に持ち歩くなんて、他店からすれば信じられないだろうが、オール銀線システムの音は自宅で聴いて戴くのが一番だ。
そそくさとセッティングし、出て来た音に対しする鳥山さんの第一声は、「全くスピーカーを感じさせない」であった。
私が心配していた重低音の出方も、Tさんの耳には難なくクリアーしたのである。
このスピーカーを外へ持ち出したのは今回が始めてであり、多少の不安はあったものの、ここまで凄い音がするとは思わなかったし、S-1EXを朗々と鳴らすサンスイのB2301は、かなり素性の良いアンプであったと 再認識した。
オーダーを戴いて気分を良くした私は、次の埼玉へ意気揚揚と出掛けたのである。

■第4回目2006年02月

S-1EXのフルチューンは非常に手間が掛かるので、月に2セットしか仕上げられない。
埼玉での試聴も好結果で、2セットを納品する事になったが、何せ背が高いので1BOXでも縦積みする事が出来ず、止む無く本体のみ宅配便で送る事にした。
Tさん宅へは前日到着していたが、ネットワークが内蔵されていないので鳴らす訳にもいかず、玄関横にそのまま置いてあった。
そそくさと設置し、エージングがまだ十分ではないんですが・・・と音を出した途端、前より自然な音ですねと言われたのである。
前回の試聴機ではウーハーのエッジがノーマルであったが、今回のはセーム革に張替えてあるのだ。
やはり、誰の耳にも天然素材の自然な音質が馴染むんだな・・・
しかも、エッジ交換でローエンドが更に伸びており、然程ボリュームを上げていないにも関わらず、テストCDのマリンバを難なく再生してみせるS-1EXに、同席した一同がビックリしたのである。
何より、実物大の音像が壁の制限を越えて展開される様に、皆があっけに取られてしまったと言った方が良いだろう。
次はZAPのパワーアンプをバイアンプで聴いて頂く事にして、雨の群馬を後にした。

■第5回目2006年03月

1ヵ月が過ぎ、S-1EX/DENTECもエージングもかなり進んでいるだろうとバイアンプで接続したDZPだが、意に反してそれ程良くならない。
やはり、アナログアンプではエージングのスピードが遅いのだろうか?

余ったVEBを有効利用するなどあれこれ作業を進める内に、どんどん音場が広くなりレンジも広がっていく。
やはりエージングの問題だった様だ。

また例のテストCDでマリンバの最低音を聴く・・・
すげ~!! まず、同席していた今村さんがぶったまげた!!
Tさんは終始ニコニコされ、アンプを元に戻す事など二度と出来ないだろう。
何せ、DZPを導入するという言葉を発するのを忘れ、既にこの音は自分のものだと言わんばかりなのだ。

今回は1台の古いアナログアンプと2台の最新DZPによるバイアンプという反則的な比較ではあったが、スピーカーの逆起電力による影響を排除すると、とんでもなく良くなるのだ。
私がたったこの前まで世界最高とまで称していたDart Zeel のパワーアンプさえも確実に凌ぐのだから、全く凄いとしか言い様がない。
もっとも、パワーアンプに500万円近く出せる人には、Dart Zeelをバイアンプという豪勢な手段もあるが・・・

DZPが仕上がってからは、店の最新スピーカーからビンテージまでこれで鳴らしている。

この事は「変換機であるスピーカー以外に個性を求めてはならない」という私の持論が証明されたと言えるだろう。
どんなスピーカーであれ、位相ズレなく振動板を動かしてやれば、そのスピーカーの持つ能力を最大限引き出せるのだ。
何かに不満があって買い替えを検討されている方は、従来の常識が当てはまらないアンプ、DZPを試聴してみられる事をお勧めする。

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