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私とサウンドデンとのお付き合いは、12年ほど前にさかのぼります。
今使用中の装置は、ほとんどサウンドデンでチューニングしたものです。
それらは、まだまだ藤本社長のアイデアがつきぬ限り、私のふところに応じた進化を遂げていく事と思います。
私は音楽が大好きで、それがこうじて中学校の音楽の教師をしています。オーディオ歴も大学の頃からですから、25年以上になります。勤め始めた頃(昭和50年)私の憧れは、JBLのスピーカーを手に入れることでした。ただ漠然とした願いだったと思います。その当時高値の花であったJBL L-200(当時の価格で1本38万円)を32〜3歳の頃に中古でようやく手に入れました。
これを鳴らすのに相応しいメインアンプと、2WAYのL200を3WAYにするためにツィーターを探しているとき、ステレオサウンド誌のサウンドデンの広告でオーディオリサーチのD-75(中古)を見つけ、併せてJBL077と一緒に購入したのが、サウンドデンとのお付き合いの初めでした。
しかし購入当事は一販売店としか見ていませんでしたし、L-200を鳴らすのに適した機器探しに熱中していました。約3年ほどの間に構成した装置は、オーディオリサーチのSP3、D75など、1970年代前半、私には到底購入することは出来ないだろうと思っていた、憧れのアンプたちだったのです。構成した装置は全て中古品。それらは福岡、広島、京都、大阪、埼玉、東京、秋田、そして地元兵庫県から我が家にやってきたのです。この装置で録音、演奏ともに素晴らしい、1950〜60年代のジャズ、クラシックを中心に聴いていました。
しかし、職業柄新しい録音なども聴かなければならないこともあり、古いものばかりを追ってばかりはいられませんでした。当時の流れとしてLPからCDへの移行が急激なものになっていました。新譜として出てくるのは、CD中心でLPを平行して生産する会社がだんだん減り、やがてCDのみの新譜になってしまいました。そのためCDプレーヤーを購入しようと考え、知り合いのCDプレーヤーを借りて聴いてみても、納得する音が全く鳴りません。圧倒的にLPの方が音楽的なのです。CDというメディアに対して諦めにも似た心境で2年ほど過ごしていました。
そのようなある日、妻の知り合いのピアノの先生から1枚のCDを聴かせていただき(アンドラーシュ、シフによるモーツアルトのピアノソナタ。モーツアルト自身が使っていたピアノフォルテによる演奏)、その演奏に心打たれ、是非そのCDを納得できる音で鳴らしてみたいと真剣に考え始めました。
しかし、相変わらず納得のいくCDプレーヤーは見つかりませんでした。
そのような時に、ステレオサウンド誌にベクトルジャパンDAC9710の開発記事が出たのです。平行してサウンドデンからも開発に関わる記事と、バッテリードライブ9110の広告が送られてきました。そしてこの機械の性能を最大限発揮できるCDプレーヤーは、フィリップス(CD-M1)のメカを搭載した、マランツのCD99SEによって最高の音質で聴くことが出来る。という謳い文句でした。
どこまで信用できるのか分かりませんでしたが、「納得できなければ購入しなければよい、ダメでもともと」という気持ちで、趣味を共にする友人と一緒に、1991年12月26日広島行きの新幹線に乗ったのでした。「たとえ期待はずれでも、広島までミニ旅行をしたと思えばいいね」といった軽い気持ちでの広島行きだったのです。
はたして、サウンドデンの試聴室で聴いた音は明らかに、私達が普段聴いていたCDの音とは全く違っていました。特に友人は当時30万円のソニー製CDプレーヤーを使用しており、彼が普段聴いていたソフトから、「余韻の感じが全く違って聞こえる。これは自分のCDプレーヤーでは聴くことの出来なかった音がする」という感想が聞けたのでした。それから、いろいろなソフトを試聴させていただき、これならば長期間にわたって安心して使用できる。購入しても後悔しないと思ったのでした。
※彼のソニー製CDプレーヤーの話には後日談があります。彼が自宅で2台を比較したところ、フィリップス(CD-M1)メカを搭載した、マランツCD99SEが、圧倒的な音楽性を示したのだそうです。
いかにメカニズムが大切であるかということを理解させられたエピソードです。
そして7年後皮肉なことに、ピックアップ固定メカを搭載したソニーCDP-X5000(チューニング品)に、マランツCD99SEが取って代えられたのです。この様な事柄が起こる度毎に、藤本社長の本物を見る目の確かさを実感させられます。
話を戻します。素性の良いものを購入すれば、すぐに良い音で楽しむことが出来ると思っていましたが、そうは問屋が卸しませんでした。使うほどに装置が正しく鳴るようにするための努力が、並大抵のことではない事に気が付きました。ディジタル録音を正しく再生するには、アンプを中心とする機器のスピードが命なんだ、という事がだんだん分かるようになってきました。私はこのCD装置一式を購入する以前に、メインアンプD75を出力がやや少ないD51に取り替えていました。出力管6550に無理をさせない設計がD51に余裕を与えるのか、D75よりも自然な音でLPを聴いていました。結構満足していたのですが、この装置が来て実際に音を出してみて、まだまだ広島の試聴室で聴いた音には程遠いものを感じたのです。このアンプたちは、確かにLPの再生では良い音を聴かせてくれている。しかし、CDで納得できる演奏を聴くためには、サウンドデンのチューニングによってアンプをハイスピードなものに変化させれば、展開は変わってくるだろう。という結論を出し、私は友人を誘い2回目のサウンドデンへの訪問を1992年夏に敢行したのでした。
どうやら私達はその頃にはすでに、藤本教の信者になっていたようです。以来、年に2回のサウンドデン詣でが始まりました。西宮から広島までの移動は全て自動車です。それは装置のバージョンアップをしてもらうため、2人の機械を運ぶからです。その車中の話も多岐にわたり、面白いものです。
チューニングは、今まで聴いてきて「知り尽くしている」と思っているソフトを、もう一度聴きなおさなければと思わせられる程の変化があります。出てくる音の中に演奏者の思いや気配、そして具体的なテクニックを分析することが出来る様になり、自分の装置が確実に変化を遂げていくのを実感します。そしてチューニングによってCDの再生音が、より自然になっていくのは狙い通りなのですが、それ以上にLPの音質がそれを上回るほどの変化を見せてくれるのです。大切にしてきたLPの音がより良いものに変化することは、本当に嬉しいことです。このように自分の装置を進化させているのは、ただひたすら、演奏者のメッセージを少しでも多く聞き取るためです。そして、チューニングによって演奏者の「良し悪し」が、よりはっきりと出てきます。
そのため購入するソフトも慎重に選ぶことになります。また、自分の好みのジャンルでは、どのアーティストを選ぶかという基準がありますが、他の情報は全く手探りです。情報集めをかねて、友人達とソフトを持ち寄って鑑賞会を行います。その中から今まで知らなかった世界が広がって行きます。また、自分の仕事柄 先輩や同僚、後輩また自分が教えた生徒の中にプロの演奏家がいることも、生の音に接するチャンスが多く、そこからの情報も自分の装置のセッティングに大いに役立っています。
そこで得られたソフトやハードに関わる知識は、自分の仕事の中に大きく反映されます。
音楽がいかに楽しいものかを伝えていくために、この装置を通してえられたものは、計り知れません。教室のスピーカーのセッティングにこだわるだけで、授業での生徒達の反応が全く変わるのです。
そして、教科書にはないロック、ジャズ、ブルースなどの演奏や映像(演奏内容が厳選され、その内容や背景を自分が理解しているものに限ります)を鑑賞することから、音楽の深さ、楽しみ方、聴き方を知らせることが出来ます。本物はジャンルを問わず、生徒達に伝わります。「良い物は時代を超えて良いんだ」という事を超一流のアーティストの力を借りて、授業の中で伝えています。生徒達の反応は自分にとって大きな糧となり、次への研究のエネルギーを与えてくれるのです。
現在私の勤めている西宮市内の中学校の音楽科では、鑑賞の授業に関するオーディオ、ビジュアルの機材一式の設備基準を作っています。最近の子供は自分の部屋にテレビ、電話、ミニコンポ等を買ってもらって、私達の子供の頃には想像もできない贅沢な生活をしているものも多くいます。
そのような子供達が普段聴いている音よりも、遥かに素晴らしい音の世界を教室の中に実現することが私の願いです。基準をもとに購入した機器を使って、セッティングの研究会、ソフトの研究会を年1回は持っています。この考え方に賛同してくれる仲間も増えています。
自分の趣味の世界を、そのまま仕事につなげることが出来るという事は、本当に幸せな、そして有りがたいこととおもっています。この趣味の原動力は、生徒がくれたものだなと思います。
まわりの人から「なぜわざわざ遠い広島にいくの 近くに日本橋があるじゃないか」と言われることもありますが、商品を大量に売る量販店と、技術と信頼を売るプロショップとでは、期待度 満足度が全く違います。年に2回広島へ通うことは、機械のチューニングだけでなく、良い状態で自分の装置を鳴らすにはどうすれば善いか?ということを考えるヒントをいつも供給してくれます。客のほうから「お願いですから売ってください」と懇願されるような製品開発と新機軸。いつ広島へ行っても新鮮な驚きがある。
そのようなわけで、友人との年2回の広島詣ではなかなか終わりそうにはありません。
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